「嫌われる勇気」という本がベストセラーになり、アドラーの心理学が注目を集めています。アドラーは人生の悩みのほとんどが対人関係であると言い、それを解消して幸せな人生を送るためには「嫌われる勇気」が必要と説いています。しかし、できるだけ周囲との和を図ろうとする文化を持つ日本人にはかなりハードルの高いもののようです。ハードルが高いものであるがゆえに、憧れの気持ちにつながっています。
身近なものでハードルが高くて憧れるものといえばマイホームではないでしょうか。アドラーの心理学は住宅パンフレットにも応用することが可能です。住宅パンフレットにおける応用についてご紹介します。
新しいライフスタイルを選ぶ勇気を後押し
アドラーは「新しいライフスタイルを選ぶ勇気が足りていない」とのべ、それが嫌われる勇気や幸せになる勇気につながると語っています。
マイホームの購入はまさしく新しい生活の始まりです。しかし、新しいものに対して第一歩を踏み出すことはリスクも伴うので意外と難しいものです。それがマイホームという人生で最も大きな買い物であればなおのことです。
そこで、パンフレットには新しいライフスタイルに憧れを抱きつつもそこに一歩踏み出せないというお客様の後押しをするような内容を掲載しましょう。安心できる材料、リスクヘッジの方法、理想の未来像を提案することで、営業担当者も活用しやすいパンフレットを作ることになります。
他者との比較ではなく理想の自分と比較する
劣等感を持つことは健康であるとアドラーは言います。劣等感こそが成長の糧であり、進化を望む原動力だからです。しかし、不健康な劣等感は他者と比較し、自分にはできないとコンプレックスになってしまっている状態です。自分にはできない言い訳を考え出すために、努力しなくなってしまいます。本来自分自身が望むことなのに実現しないという負のスパイラルに陥るのです。
パンフレットも他者と比較してコンプレックスを刺激するものではなく、お客様自身の理想像を引き出しリンクさせていくような表現をするように心がけることで、お客様の成長と進化を望む健康な劣等感を引き出すことにつながります。お客様の健康な劣等感を引き出すことで、憧れを実現させる提案を行うのです。
他者への貢献に集中する
アドラーは他者への貢献があることが幸せな人生につながると説いています。目に見える貢献でなくとも、自分は誰かの役に立っているという「主観的な貢献感」を持てれば良いとも語っています。
マイホームは自分自身のご褒美としてというよりも、多くは家族のため、子どもの将来のため、と誰かのためを思って購入するのではないでしょうか。住宅は誰かのためで、それは貢献であるという点をパンフレットにて提案することで、自分自身の幸せともリンクしていくことを強調できます。
また、アドラーのこの項目は、パンフレットの制作にも通じる格言かもしれません。お客様への貢献を一番に考え、実感することはとても幸せなことです。お客様も企業の担当者も幸せを感じることのできるパンフレットこそ、最高のパンフレットと言えるのではないでしょうか。