同業他社のブースがところ狭しと並ぶ展示会のイベント会場。その中で目立つのはなかなか大変なことです。特に、大企業のブースは豪華絢爛。ブースの設計に数百万以上かけているケースもあります。限られた予算の中で、そうした企業に埋もれないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
ブースの規模が全てじゃない! 効果的な配置で勝負
ブースの派手な装飾でつけられた差は配置のテクニックで埋めればいいのです。来場者が通路を歩いていて視覚に入ってくるのはブースだけではありません。パネルやポスター、看板、デジタルサイネージといった集客ツール、パンフレットや会社案内などの販促ツール、受付カウンター、PC、デスク、椅子、商品などすべての要素がディスプレイ(展示)されたパッケージとして目に映るのです。
予算の差がブースの規模に現れるのは仕方ありません。だったら配置で勝ちましょう! では、勝てるディスプレイの秘訣は何なのでしょうか?
ここは何のブースか。制限時間:3秒
認知科学分野において、ヒトがモノを認知して判断するまでの所要時間はおよそ3秒以内といわれます。このことからマーケティングにおいて、「最初の3秒で視聴者にインパクトを与えられなければその商品の購買率は下がる」といわれています。
展示会をまわっていると、立派なディスプレイのブースなのに何の会社か分からず、そのまま通り過ぎることがあります。それは、ブースのビジュアルにこだわりすぎて、文字情報がほとんど入ってこないからなのかもしれません。小さいブースであっても、「マイナンバーの対応でお困りではありませんか?」とか「ストレスチェック代行します!」といった直接的なメッセージを発信した方が、確度の高い来場者の関心を引くことができます。
IT系の企業の場合、売り出したいモノがビッグデータ活用やSEOサービス、ECサイトのシステムなど、加工食品や家電製品のようにハッキリ目に見えるモノではありません。PCやタブレットを使って紹介するものなので、「これを売っています!」と製品を展示することができないわけです。だからこそ、パネルやポスターといった文字情報で補足できる集客ツールが必要になるのです。通路から見て3秒以内に理解できるように余計な情報を詰め込まず、端的なキャッチが5,6歩離れたところから見えるのがベストです。来場者が通ったときに「何だか分からないからいいや。」と思われては失格。「●●のブースだな、気になるな」と認識、興味を引く集客ツール配置しましょう。
ブース前で呼び込みをしているスタッフに隠れて、奥のパネルやポスターが見えないことがあります。これでは、集客ツールとしての役割が果たせません。来場者がブースを見た時にどう見えるかを考慮して集客ツールとスタッフを配置しましょう。
販促ツールを自由に手に取れる演出を
パネルやポスターを見て、気になっても10秒から20秒ほどで立ち去ってしまう来場者は珍しくありません。来場者をブースに引き込む手段としてスタッフによる声掛けがありますが、ブースに立ち寄ってくれる人が増えれば商談スペースから動けず、人員が不足してしまいます。そこをフォローしてくれるのがパンフレットやカタログ。ラックやカウンターに置いておき、自由に取れるようにしましょう。パネルやポスターなどの集客ツールを見て興味を持ったけれど、ブースの中に入っていない来場者へのアプローチとして入口付近に置くことをおすすめします。
パンフレットを配置することと放置することは違います。
来場者の中にはこうした販促ツールを雑に取っていく人もいます。一回手に取ったパンフレットを別のパンフレットの上に戻したり、上下逆に戻すことも珍しくありません。カウンターに積み上げて置いておいた場合も、何度か手に取って戻すことで、重なりがばらけて乱雑になってしまうこともあります。そうなると、別の来場者の印象が悪くなってしまいますので、タイミングを見て整理するようにしてください。
メインの製品はブースのセンターに置くべし
アイドルグループでセンターが重宝されるのは、単純に目立つからです。もし、さまざまな製品をブースに配置する場合は、メインとなるものをセンターに置きましょう。具体的には、展示台中央にスペースを設けて、ピンスポットを当てるとより存在感が出てきます。複数の製品を出す場合は、カテゴリーごとに製品を分類し、実力をアピールしましょう。実際に製品に触れることが可能なら、展示台の高さを調整し、手に取りやすい位置に置くように心掛けてください。背伸びしなければ手に取れない配置ではダメです。
ディスプレイにはいろいろなコツがありますが、イベント前日の準備の段階で来場者になったつもりで全体の配置を何度も調整してください。売り込みやすいディスプレイづくりに気を取られすぎて、ブースのキャパ以上の製品を置いてしまい、込み合ってきた時に窮屈になっている場面が見受けられます。そうしたブースは、疲れそうだなと思って入らない来場者もいますので気を付けてください。そもそも入口が塞がってしまっている・・・なんてケースもあります。ブースの規模に合わせて配置するモノを厳選し、来場者に親切なディスプレイになるよう心がけましょう。