医療機関の価値は評判に左右される!?
病院をはじめとした医療機関は“評判”が何よりも大切といいます。利用者にとって、医療サービスは事前に中身を確認しづらい。だから、医療サービスを受けようとするとき、できるだけ情報を集めようとします。なかでも、特に知りたい情報が“評判”です。医療という分野は専門すぎて、一般の人からは良し悪しの判断がつかない。だから評判、つまり他の人の意見を当てにするのです。
いったんこの評判に傷がつくと、その情報はたちまち広がり手がつけられなくなることもあります。一方で良い評判は黙っていても患者さんを連れてきてくれます。総合病院や歯医者、美容整形外科など、医療サービスを提供しているあらゆる医療機関は、この評判を見方にする必要があります。
腕の良い医者がいても病院がつぶれる時代、必要なのは顧客の声を聞き、自分たちの評判を発信することです。医療機関の販促は評判を獲得し、発信することに注力しなければなりません。
医療機関が評判を得るには?
評判は必ずしも、真面目に医療活動に取り組んでいれば、自然発生的に生まれるというものではありません。評判は意識的に作り出し、コントロールすることが可能なものです。
そして、評判を作り出す元となるのが患者さんという顧客の満足度です。同じ人が繰り返し利用するサービスほど、顧客満足度の向上が評判に反映されます。医療サービスは、まさに顧客の評価が大きくものをいう業種なのです。
顧客満足度を高めるのに、最も効果的な方法が顧客の声を聞くこと。顧客の声を集め、顧客が何に満足し、何に不満を持っているのかを理解できれば、不満要因を改善することができるからです。
顧客の声を集める具体的な方法としては、アンケートがあげられます。診察の最後にアンケート用紙を渡して記入してもらう。あるいは待合ロビーに設置して診察の待ち時間に書いてもらうなどして、比較的簡単に意見を集めることができます。アンケートの中身は自由に意見を書いてもらうのではなく、設問に応えてもらう形式にしましょう。そうすることで、知りたい意見を知ることができます。
集めた顧客の声をどう活かす?
顧客からの大切な意見。満足度の高いものもあれば、低いものもあるでしょう。顧客の声を活かすときに大切なのは、顧客の不満要因すべてを改善しようとするのではなく、重要度と満足度で考えるということです。重要度と満足度の要素で4つのカテゴリーを作り、そこに各項目を当てはめていきます。4つのカテゴリーは次のようになります。
・重要度と満足度ともに高い項目
顧客が重要視している項目であり、なおかつ満足度も高い項目。病院にとって望ましい結果となっている項目。
・重要度は低いが満足度は高い項目
顧客はさして重要視してないが、満足度は高い項目。重要度は低いものの、顧客は評価しているので現状を心がける。
・重要度と満足度ともに低い項目
顧客の満足度が低く改善の余地はあるが、顧客がその項目を重要視していない。改善の優先順位は低い。
・重要度は高いが満足度は低い項目
顧客が重要視している項目でありながら、顧客が不満に思っている項目。早急に改善する必要がある。
こうして、アンケート項目を4つのカテゴリーに割り振っていくと、何を改善しなければいけないかが一目瞭然となります。そう、改善すべきは重要度が高いのに満足度は低い項目です。仮に入院食の満足度が低かったとしても、その項目は重要度が低いと考えられるので、早急に対処することではありません。しかし、医師の診断説明に対して満足度が低いとなると、これは重要度が高いと項目と考えられるので問題です。今すぐ対策をとる必要があるでしょう。
このように、重要度と満足度で考えれば効率的に顧客の声に応えることができます。顧客が重要視していて、なおかつ満足している項目はそのまま継続し、顧客にとって重要でありながら不満に感じていることを改善していけば、いい評判を形成することができます。
こうして顧客満足度が高まれば、あとはウェブサイトやパンフレットなど様々な媒体でその声を発信します。そうすれば、評判が評判を呼び、さらに高い評判を獲得できるかもしれません。1人の苦情の背後には20倍の不満があるといわれています。顧客の声に耳を傾ければ、評判を作り上げるのも決して難しいことではないのです。